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将来のために知っておきたい育児休業についてー育児休業制度とは?

みなさんは、国が定める「育児休業制度」をご存じでしょうか?就活中の今時点では、ひょっとしたらピンとこない方も多いかもしれませんが、これから働く上で将来的にも知っておきたい制度です。

育児休業制度はどんな制度?

育児休業制度は「育児・介護休業法」に定められた、仕事と育児の両立支援制度です。2021年6月から数年にわたり段階的に法改正がなされ、職場に対し仕事と育児の両立ができる環境づくりを義務化。これにより、性別や雇用形態を問わず、一定の要件を満たすすべての人が、法のもとで育児休業の取得が可能になりました。

育児休業制度が利用できる対象者

原則としては、1歳に満たない子を養育する労働者で、父・母どちらでも育児休暇の取得が可能です。ただし、下記の労働者はその対象となりません。

  • 日雇労働者
  • 勤務年数が1年未満の労働者
  • 育児休暇の申請から1年以内に退社予定の労働者
  • 週の所定労働日数が2日以下の労働者

また、育児休業制度は、有期労働者も下記の要件を満たしていれば利用が可能です。

  • 同じ会社で1年以上勤務を継続している場合
  • 子が1歳6カ月になる日までに雇用期間が終了にならなず、更新される可能性がある場合

育児休業期間はどのくらいあるの?

原則としては、労働者の希望により、子が1歳になるまでの期間は休業することが可能です。さらに昨今の法改正により、事情によっては2歳になるまでの延長が可能となりました。

育児休業の現状

このように、要件を満たしていればすべての労働者が取得できる育児休業ですが、実際の取得状況はどうでしょうか? 厚生労働省の調査によると、2021年度の育児休業取得率は、女性が85.1%に対し男性は13.97%でした。2019年度以前と比べると、男性の育児休業取得率は大幅にアップしているものの、それでも男女比で見ると、まだまだ低い割合なのが分かります。

男性も取りやすくなった育児休業

このような調査結果を受け、昨今の段階的な法改正では、さらに男性が育児休業を取得しやすい制度を設けています。

産後パパ育休(出生児育児休業)

産後パパ育休は、父親が、子の出生後8週間以内に最長で4週間を限度として、特別な事情がなくても2回に分けた育児休業が取得できる制度。母親の出産・産後を父親がサポートできるよう新しく設けられたもので、これにより、たとえば出産時や退院時に1回、加えてもう1回と育児休業の取得が可能になります。

育児休業分割制度

もともと育児休業は、1回しか取ることができない制度でした。しかし法改正で育児休業分割制度が新しく導入されたことで、父・母それぞれに、分割した2回の育児休暇の取得が可能となりました。 つまり父親は、先にご紹介した産後パパ育休と合わせると、計4回の育児休業が取得できるということです。共働きの家庭であれば、育児休業を父・母交代で数回にわたり取ることで、おのずと仕事と育児の両立につながるでしょう。

パパ・ママ育休プラス

両親がともに育児休業を取得する際にタイミングを調整することで、原則1歳までの育児休業期間を、1歳2カ月まで延長できる制度。延長するには、父母の育児休業開始のタイミングをずらすことと、どちらも子が1歳を迎える前に育児休業を開始していることなどが条件となります。共働きの家庭にとっては、うれしい制度となりそうです。

育児休業制度で約束されているさまざまな権利

育児休業制度では、育児休業以外にも、育児中の労働者にとってさまざまな権利が認められています。

【短時間勤務の措置】
3歳に達するまでの子を養育する労働者が、短時間勤務/1日原則6時間の希望を出すことができる。

【子の看護休暇制度】
小学校就学前の子が1人であれば年間5日、2人以上であれば年間10日、もしくは時間単位での看護休暇の取得ができる。

【時間外労働の制限】
小学校就学前の子を養育する労働者が希望すれば、1ヶ月で24時間、1年で150時間を超える時間外労働の制限を請求できる。

【転勤への配慮】
労働者の転勤に関して、育児状況の配慮を雇用主に義務づける。

【所定外労働/残業の制限】
3歳に達するまでの子を養育する労働者が希望した場合、所定外労働の制限を請求できる。

【育児休業における不利益取扱いの禁止】
育児休業制度の利用を理由とする、解雇等の不利益な取扱いを禁止する。

【深夜業の制限】
小学校就学前の子を養育する労働者が希望した場合、深夜業の制限を請求できる。

【育児休業等に関するハラスメント防止措置】
育児休業制度の利用に関する、上司・同僚による言動的なハラスメントの防止措置を雇用主に義務づける。

育児休業中の給与はどうなるの?

育児休業中は会社に給与支払いの義務はなく、原則的には無給です。しかしその一方で、労働者が雇用保険の一般被保険者であれば「育児休業給付金」の制度が利用でき、給与の一部に相当する給付金を受けることができます。 支給額には定められた計算方法がありますが、休業前の賃金の50~60%ほどがおおよその支給額となるようです。

育児休業は性別を問わず必ず取れる法律上の制度です

育児休業制度では、共働きでも育児と仕事が両立できるよう、父・母ともにさまざまな権利が認められていることが分かりました。 就活をする際は、さまざまなライフプランを考えて仕事探しをする方も多いのではないでしょうか。そんなときに、この育児休業制度についても少し心に留めておくと、いざというときに安心です。

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