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【対談】宮崎だからできる!高校生のキャリアデザインを追求して

「高校生が先輩たちの”選択”に出会う」をキャッチコピーにさまざまな記事を発信している、当サイト。今回は、各学校で進路支援やキャリア支援を担当する先生方にお越しいただき、「宮崎の高校生のキャリアデザインについて」をテーマにお話を伺いました。

★アオ活!が考える「キャリアデザイン」とは・・・自身が働く(生きる)うえで、大事にしたい自分の軸を持ち、主体的に行動に移すこと。

 

 

 

ーー自己紹介と学校紹介をお願いいたします。

▲写真左:梅北先生(飯野高校) 右:岩元先生(宮崎南高校)

 

 

梅北先生:宮崎県えびの市に位置する宮崎県立飯野高等学校で日本史を教えています。また、進路指導部長兼キャリア教育推進リーダーも務めており、学校全体の進路指導の計画策定を担当しています。 

飯野高校は、地域に開かれた学校であると同時に全国、世界に開かれた学校です。「探究型の学び」を推進しており、県外から生徒を受け入れる「地域みらい留学」を実施。現在21名の県外生が在籍しています。 

ICTを活用した遠隔授業や交流活動も行われて、日本国内のみならず海外とも連携した学習を実現しているユニークな学校です。

 

岩元先生:宮崎市の宮崎県立宮崎南高等学校で進路指導主事をしながら、世界史を教えています。

宮崎南高校は99%の生徒が「進学」を希望し、4年制大学へ進学する進学校です。また、ハイレベルな文武両道を目指しており、勉学だけでなく部活動も盛ん。 全国大会や九州大会に出場する競技も多く、好成績を残している部活動も多いです。

地元への就職を希望する生徒が多く、特に公務員や医療関係を希望する生徒が多いです。

 

 

ーー各学校で取り組んでいるキャリアデザインについて教えて下さい。

梅北先生:当校では、普通科総合コースで「地域貢献活動」、普通科探究コースで「地域探究活動」、生活文化科で「地域支援活動」を実施しています。

名前の通り、地域に落とし込んだ探究活動を重視しており、西諸地区(小林市、えびの市、西諸県郡高原町)で事業を興しながら思いを持って動いている人と直に生徒がつながることで、キャリア意識を高めることを狙いとしています。

また、結果よりも過程を生かすことを重視しています。例えば、数学の教員を目指していた生徒が、「JR吉都線の活性化プロジェクト」に関わったことがありました。その際に、「社会とのつながりを考えたとき、教育者になるにあたって自分が経験した”学び”を自分でも実施していきたい」と、学びのあり方を考える機会になったとの声を貰うことができました。就職する職種とは直結しないように見える経験も、全てが「自分の在り方」を考える機会になると考えています。

 

岩元先生:「鵬ドリカム講座」という実際に働く人の声を聞く講座を年に1回実施しています。参加するのは1、2年生。講義をおこなうのは、当校の卒業生です。志望者の多い公務員や医療系はもちろんのこと、ITや航空業界、起業家など、全職種を包括した講座を実施できています。

それぞれの分野で活躍する方々の仕事の内容ややりがい、その職業に就くための進路や資格について講義いただくのですが、実際の仕事に携わっている方々の生の声はとても説得力があり、生徒は大いに刺激を受けています。

 

ーー都市部(関東・関西・福岡など)と比べたとき、宮崎のキャリアデザインは何か違いがありますか?

 

梅北先生:最も大きな違いは、「学校と地域の方々との信頼関係が構築されている点」だと思います。えびの市は小さなまちだからこそ、地域の方の顔がしっかり見えます。だからこそ、生徒たちを安心してお願いすることができる。都市部の先生たちから、最も驚かれる点です。

また、地域の社会課題に対して生徒たちが動いた際に、メディアが取り上げてくれることも多い。子どもたちの活躍が見えやすいと思います。自分たちが地域で動いた分だけしっかり評価される。成功体験も積みやすく、教育効果も高いと感じています。

 

 

ーー宮崎南高校は周辺に大学や専門学校も多数ありますが、各学校との連携はされているのでしょうか?

岩元先生:はい、市内の全大学との提携をしています。宮崎産業経営大学、宮崎国際大学、宮崎県立看護大学など、さまざまな大学と密に連携できているので、進学や就職におけるアドバイスが受けやすい状況ですね。

 

ーーコロナ禍でさまざまな制限や変化もあったかと思います。どのように対応されたのでしょうか?

梅北先生:「こんなときだからこそ自分たちができることを考えよう」と題して、ICT技術を活用し、オンラインで海外インターンシップを実施しました。1人の生徒はカンボジアの飲食系企業に4ヶ月ほどインターン。オンラインで社内会議をしたり、web記事を書いてみたり、商品企画を提案したりしていました。提案した商品は現地で採用され、かなり売れたようです。

コロナ禍で制限はもちろんありましたが、いろいろと「こんなこともできるのか」「こんなふうにできるのか」と発見も多かったですね。

 

ーー高校生のキャリアデザインにおいて、保護者が取り組めることはあるのでしょうか?

 

岩元先生:当校の保護者の皆さんは、かなり生徒に協力的で、夢を後押ししているイメージです。進路の実現に向けて、支援を怠りません。そういった姿勢は生徒にとってはかなりありがたいんじゃないかなと思います。

 

梅北先生:ぜひ生徒たちのキャリアデザインイベントに、保護者の皆さんも参加していただきたいですね。今は、パソコン1台あればどこでも仕事ができる時代。遊びと仕事の境がなくなっている方も多いです。

保護者自身が「今」のキャリアデザインに関する情報を得て、生徒たちがどう考えているのかを聞くことで、新たな発見や刺激を受けることができます。さまざまな価値観や選択肢を知った上で、生徒たちと対話することで、「言われたからやる」ではなく「自らやる」内発的な動機づけを促すことができると思いますよ。

 

 

ーー最後に、高校生へのメッセージをお願いします。

岩元先生:受験は学力だけではない「人間力」だ、という言葉を言っていた先生がいました。落ちているゴミを拾う、困っている方がいたら助けるなど、どんな行動も想像力や思いやりが必要です。学力ももちろん大事ですが、ひとつひとつの普段の行動も大切にしてほしいと思います。

宮崎の人や自然、環境は、とても恵まれています。そんな宮崎を盛り上げ、大事に思ってくれたらありがたいですね。宮崎を良くするために、活躍してくれるとうれしいです。

 

梅北先生:生徒たちには、わくわくするものを提供し続けたいし、わくわくを見つけてほしいと思っています。私自身「楽しいから」働いています。ただただ労働者として働くのではなく、自分自身が何を軸に働いて、豊かになっていくかを考えてもらえたらと思います。

そのためには、さまざまな体験から得ることのできる「学び」が欠かせません。学びを通して、「どう在りたいか」を自分たちでデザインしていく。そんな力を身に着けてほしいですね。

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