高齢者の手助けをしたい。看護の道から福祉の道へ
現在のお仕事内容から聞かせてください。
社会福祉法人ときわ会特別養護老人ホームひなもり園は、常時介護を必要としながらも、在宅では十分な介護を受けることが困難な要介護認定者の方が安心して生活していただける、24時間体制で身の回りのお世話をおこなう老人福祉施設です。
私は正職総合の介護士として、入居者の方の日常生活をサポートしています。約90名ほどいらっしゃる入居者の皆さんを、日中は15名ほど、夜は4名ほどで対応しています。また、介助をする中で健康管理もおこなうようにしています。
安心安全に過ごしていただけるようなサポートはもちろんのこと、「一人で歩けるようになりたい」「一人で顔を洗いたい」といった入居者の方の思いに寄り添ったサポートができるように心がけています。
現在の会社に入社した経緯を教えていただけますか?
幼少期に祖父母との交流の機会も多く、近所の高齢者との関わりも深い生活を送っていました。自然に、高齢者の方たちを手助けできる「医療福祉」の仕事に就きたいと考えるようになりました。
叔母が看護師だったこともあり、まず看護師を目指しました。宮崎県立小林高等学校を卒業後、都城市にある看護学校へ進学。しかし、卒業を間近にしたところで、体調を崩し中退しました。
それまでの知識を生かし、福祉業界を目指そうと、職業訓練校に通い、初任者研修を修了。介護士の資格を取得しました。友人も働いていて、勤務体制もしっかりしている、ひなもり園で働くことを決めました。
福祉のプロ「介護士+α」として、地域に貢献を
看護師を目指していたときの知識が今の業務に生きることはありますか?
はい、看護学生時代に培った知識が、かなり実務に生かされています。
利用者の方をケアする中で、持病がある場合にも、病気の知識が事前に入っているのですんなり理解することができる。何を観察すべきか、どうサポートするのが良いのか、記録の仕方など、比較的対応しやすいなと感じています。
看護師をあのまま目指していたらどうなっていたかな、と思う瞬間はありますが、看護師の知識がある介護士だからこそできることがあるなと感じています。辞めることは、一概に悪いことではないと思いますね。
お仕事の中で大変なことはありますか?
利用者の方が亡くなるときは、やはりとてもつらいです。
初めて経験したときは、状況をみて今の自分には処置は難しいと判断し、記録係を担当しました。対応後には、あのときどうすればよかったのかを看護師の方にフィードバックいただき、できることを増やしたいと「赤十字ベーシックライフサポーター」の認定を受けました。
「赤十字ベーシックライフサポーター」は、日本赤十字社が開催する救急法の基礎講習。心肺蘇生、AEDを用いた除細動、気道異物除去などを学ぶ講習です。急変時の対応についても、より適切に対応できるようになっていきたいです。
お仕事をしていてやりがいを感じる部分はどこでしょうか?
利用者の方から、遠くにいても「赤木さーん!」と名指しで読んでいただく瞬間は、関係性が築けたのだなと思えて、とてもやりがいを感じます。
利用者の方にとって、私はお孫さんと同じくらいの年齢。体調を気遣ってくださったり、感謝の言葉をおっしゃってくださるときには、やっててよかったな、と心から感じます。経験豊富な皆さんからアドバイスをいただき、励まされることも多いですよ。
そのときしかない青春を存分に味わって
これからの目標を聞かせてください。
介護士としてのスキルアップはもちろん、プラスアルファの知識をつけて専門性を高めたいと思っています。
まず「赤十字ベーシックライフサポーター」の上級、「赤十字救急法救急員(赤十字ファーストエイドプロバイダー)」の認定を取得したいと思っています。将来的には、ケアマネジャーや社会福祉士などの資格にもチャレンジし、考えや視野を広げていきたいですね。
看護の道に行けなかった分、福祉の道でプロとして生きていきたい。「私だからできる」を増やして、地域の方への恩返しをしていきたいですね。
お仕事がお休みの日はどのように過ごしていますか?
友人と遊んだり、祖母とお出かけをしています。祖母は今80代後半。免許の返納を手伝ったり、ご飯を食べに行ったりしています。
高齢者の方と一緒にいると、純粋にうれしくて、心から楽しいと思えるんです。自分の知らない体験を教えてくれるし、こういう生き方もあるんだって気付かせてくれる。肩の力を抜いて、一緒の時間を過ごすことができるなと感じます。
最後に、就職や進路を考える高校生にメッセージをお願いします。
まず、勉強を頑張ってほしいと思います。医療や福祉関係の国家資格を取得しようと思ったとき、どうしても学歴が重要になってきます。私は、高校のときに文系の勉強が苦手でした。でもあのとき頑張っていたら、かなりステップアップの幅や速さが違っていたなと感じています。
あとは、文化祭や体育祭など、高校時代にしか経験できない体験を全力で楽しんでほしい。今でも高校時代の友人とは遊んでいます。一生の宝ものです。ぜひそのときしかない青春を存分に味わってほしいです!