「やってきたことは無駄ではない」と高校生の自分に伝えてあげたい

阿波野さん 延岡工業高校出身

職場体験での出会いがこの職場で働きたいというきっかけになった

現在のお仕事内容から聞かせてください。

清本鐵工では、火力発電所や水力発電所のメンテナンスや、食品や製菓関係の機械などを製造しています。自分の業務はその中でも最後の工程を担当していて、製品の仕上げやメンテナンスが主な業務です。

例えば、製菓の機械は大手メーカーさんの商品を取り扱っているので、普段みなさんがコンビニやスーパーで手に取るお菓子の中にも、清本鐵工で製造した機械で作られた商品がたくさん並んでいます。

清本鐵工さんに就職を希望された理由はどこでしたか?

自分が初めて清本鐵工の存在を知ったのは、中学校の職場体験でした。職場体験は2日程度でしたが、そのとき実際に機械を触って作業したのがとても印象的で、強く興味を持ちました。

もともとものづくりは好きでしたが、職場体験に参加するまでは具体的に進路や未来像を描けるほどではなく、製造業の仕事もぼんやりとしたイメージしかもっていませんでした。それが職場体験で溶接作業をさせてもらったことで「こんな世界で働いてみたい」「この仕事は面白い」と気付かせてもらいました。

働いている方の人柄も素敵で「将来はここで働いてみたい」と希望し、工業高校を選びました。高校では就職のことを考えて機械部に所属しながら、ものづくりコンテストやロボコンに参加して、技術を身に付けていきました。

地元の熊野江神楽を伝承しながら地域を盛り上げていきたい

お仕事のやりがいはどこですか?

現場での作業はもちろん刺激的ですが、メンテナンスで全国の工場を訪れた際、他の企業さんの工場を見学できるのは楽しいですね。ものづくりが好きな性格なので、ついつい珍しい機械には目が行ってしまいます。それから、大手の製菓メーカーさんを訪れると、全国区の商品が作られる工程を見ることができるのも、この仕事ならではです。

全国を回ることができるので、時間に余裕があればその土地を観光したり名産をいただいたり、オフの時間を楽しんだりしています。

お仕事以外で取り組んでいる活動はありますか?

自分の地元では、古くから熊野江神楽という神楽が伝承されてきたのですが、今はその地域団体に所属して活動しています。

地元では自分たちのような若い世代が少なくなっていき、伝統ある神楽をどう守っていくのかが課題でした。そこで、自分を含め若いメンバーで集まって、神楽を伝承していきながら地域を盛り上げていこうと考えたのがきっかけでした。

11月がシーズンなので、それ以外の時期は練習をしながら地元の方と交流を深めています。ふるさとの伝統が、自分たちの世代でなくなってしまうのは寂しいことです。素晴らしい文化を伝承しつつ、自分たちが新しい刺激を加えることで、これからも熊野江神楽が引き継がれるよう取り組みたいですね。

視野を大きく広げて情報を探せばきっと自分に合った進路がみつかる

お仕事の面でこれからの目標を聞かせてください。

仕事ではチームで働くことが多いのですが、チームにとって力強い戦力になっていきたいですね。「この仕事だったら阿波野がいるよね」と信頼されるような存在へ成長していきたいと思っています。

最後に、高校生へ向けてのメッセージをお願いします。

求人票というのはあくまでも書面なので、どうしても仕事の内容や会社の雰囲気をイメージしづらいと思います。清本鐵工でも工場見学をおこなっているのですが、そういった機会を利用して自分で知識を広げることは大切だと思います。実際に企業に足を運んでみたり、ホームページをじっくり読んでみたり、いろいろな情報にたくさん触れてほしいですね。

自分の場合も職場見学という形で、実際に現場での仕事に触れた経験が今につながっています。今の時代は本当にたくさんの仕事や働き方があるので、自分が続けられそうな仕事や、楽しいと感じられる仕事がきっとみつかるはずです。視野を大きく広げてみてください。

それから、自分が延岡工業高等学校に入学した当時は、清本鐵工からの求人が学校に届いていませんでした。1 年生での進路面談では、もしかしたら求人は厳しいかもしれないと告げられました。ただ、自分はそこで諦めず、資格取得や勉強、機械部での活動に一生懸命に取り組んだ結果、 3 年生のころに清本鐵工からの求人が届きました。

もし高校生の自分に声をかけるなら、「自分がやってきたことは無駄ではないよ」と伝えてあげたい。

今、進路のことで先が見えない状況で悩んでいる方も、決して諦めないでください。きっと自分の努力を見てくれている人が必ずいます。今の努力や葛藤は必ず未来につながっています。

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