たくさんの出会いを通して、人生の彩りや選択肢を増やして

金倉さん 日南振徳高校出身

新会社のスタートメンバーとして働ける。自分もその一員として挑戦したかった

現在のお仕事内容から聞かせてください。

宮崎ファクトリーでは、自社工場でスーツやベスト、スラックスといったビジネスウェアを製造しています。私は主にコンピューター上で設計や製図ができるCADを使って、裁断用のマーカー作成を担当しています。

洋服をつくるときには、パターンと呼ばれるひな型に合わせて生地を裁断していきますが、できるだけ無駄なく生地を使い切ることが大切です。そこで、事前にCADを使って生地のサイズに合わせたパターンをはめ込み、裁断の無駄を減らすのがマーカーの仕事です。分かりやすく言い換えれば、生地の上でパズルをするようなイメージで、決められた生地の幅に無駄なくピースを配置していきます。

生地の無駄をなくせばそれだけ会社の利益につながります。それから、生地にもさまざまな素材や特徴があり、製品として仕上がったときの伸縮やゆがみを計算しておくのもマーカーの大切な仕事です。

現在の会社に入社した経緯を教えていただけますか?

高校生のころは、自分が将来何をやりたいかはっきりしていない状態でした。ただ、地元に愛着があり、この土地で働きたいと考え就職先を探していたところ、宮崎ファクトリーの前身となる企業に出会いました。

もともと前身となる企業へはインターンシップで何度か工場を訪れたことがあり、親近感がありました。地元の知り合いや、所属していたバレーボールチームにも工場で働いている先輩がいたので、社内の雰囲気など聞く機会があり、「ここで働いてみよう」と就職することにしました。

宮崎ファクトリーは前身となる会社から引き継ぐ形で、2020年に新体制としてスタートしたそうですね。当時は葛藤などはありませんでしたか?

前身の会社が一度なくなってしまうと分かった時期はとても悩みましたね。違う仕事へ転職する選択肢もありましたし、本当に新しい体制になってからも今までのように工場が操業できるのか?という不安もありました。

ただ、これまで身に付けてきたスキルや経験を生かしたいという気持ちが強く、新体制でもこの職場で働き続けることにしました。

それから会社全体にも、「また一からスタートしてチャレンジしていこう」という雰囲気が溢れていました。新会社のスタートメンバーとして働ける機会はなかなかないですし、せっかくなら自分もその一員として挑戦したいと考えたのも大きな理由でしたね。

試行錯誤の末に製品が出来上がった瞬間は大きな喜びを感じる

お仕事をしていてやりがいを感じる部分はどこでしょうか?

宮崎ファクトリーでは季節単位で製品を生産しているため、その度に新しいデザインや生地が届きます。生地の中には「難素材(なんそざい)」と呼ばれる取り扱いが難しい素材が含まれていることもあり、時には生産システムの改修が必要なこともあります。その都度変化に対応して準備をしていくのは大変な作業です。

しかし、他の部署と連携して試行錯誤を繰り返しながら、問題や課題を一つずつクリアして製品が出来上がった瞬間は、大きな喜びを感じます。そこはこの仕事をして一番やりがいに感じる部分ですね。

では、これからの目標を聞かせてください。

より品質の高い商品を、効率よく生産できる生産体制を築いていきたいと思っています。

製品の品質はとても大事な部分ですが、それと同じくらい効率的に生産することも大切です。より効率的な生産体制が整えば、さらに品質が高まりお客さまに喜んでいただけるスーツがつくれます。

そのためにはスーツについてより見識を深めることが必要です。今のCAD業務のスキルを高めるだけでなく、自分で生地や製品に触れたり縫製をしたりしながら、会社全体の流れを把握していきたいですね。

それから、宮崎ファクトリーでは自社ブランドのオーダースーツを販売しています。オーダースーツは店舗ではなく工場内のフィッティングルームで細かく採寸し、お客さまの体型やご希望に合う製品づくりをおこなっています。まだまだ自社ブランドは広く知られていないので、これからはブランドをより多くの人に知ってもらえる活動にも取り組んでいきたいですね。

オーダースーツは既製品と違い、着心地やフィット感がよく、何よりスーツを着用したときのカッコよさが違う。ぜひその感動を、多くの人に体験してもらいたいですね。

少しでも興味や関心があることには、ぜひ挑戦してもらいたい

お仕事がお休みの日はどのように過ごしていますか?

休日は海釣りをして過ごすことが多いですね。中学生のころから釣りが好きで、自分で釣った魚をさばいて料理したりしています。

休みの日は時間があれば遊漁船に乗せてもらって、もっぱら海の上で過ごしていますね(笑)。知り合いの遊漁船なので作業の手伝いをするのですが、そのおかげでたくさんの人と知り合いになれました。仕事とは違ったコミュニティと交流できるので、自分にとって貴重な空間になっています。

今後は自分で小型船舶の免許を取得してみたいと考えています。

最後に、就職や進路を考える高校生にメッセージをお願いします。

やりたいことや興味があることがあれば、実際に体験してほしいと思います。

私は高校生のころはなかなかやりたいことが見つからなかったのですが、今思うと「一度くらい県外に出ておいてもよかったな」「大学や専門学校に進学するのもありだったな」と考えることがあります。

だからこそ、高校生のみなさんには、少しでも興味や関心があることにはぜひ挑戦してもらいたいです。実際に体験することでしか得られないことや、知ることができないことはたくさんあります。その体験が、人生を変える大きなきっかけになるかもしれません。

それから、いろいろな人との出会いを大切にしてもらいたいです。社会人になると仕事以外にもさまざまなことで悩んでしまいます。そんなとき、いろいろな場所やきっかけで出会った人が、自分の助けになってくれます。私も趣味の釣りを通して、人生の師と呼べる方と出会うことができました。職場以外の人と話していると、違う視点や考え方を学ぶことができます。

ぜひたくさんの出会いを通して、人生の彩りや選択肢を増やしていってください。

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