人の幸せに貢献したい。視野を広げることで見える世界が変わった

佐々木さん 都城泉ケ丘高校出身

生まれて26年、宮崎を離れたことがない人間がアフリカへ。出会いが自分の価値観を変えてくれた

高校生から社会人になるまで、どのような経歴を歩んだのですか?

中学生のころから教師を目指そうと考え、教員になるための大学に進学することを考えて、高校は都城泉ヶ丘高校の普通科を選びました。教師を目指したのは、小学生のころの担任の先生のおかげで学校生活がすごく楽しかった思い出からです。

高校卒業後に宮崎大学の教育文化学部に進学し教育実習に行くと、純粋に子どもたちとだけ向き合うことができない状況もあり、思い描いていた自分の教師像とは異なる現実がありました。

そこで考えた別の道は、生まれてからずっと過ごしてきた大好きな地元、都城に貢献できる仕事。そういった仕事は公務員しか浮かばなかったので、三股町役場に応募して、勤務することになったという流れです。

青年海外協力隊としてアフリカへ。きっかけはどんなことですか?

教師を目指していた中学生のときに、学校に通いたいアフリカの子どもたちが学校に通えていないという内容のドキュメンタリー番組を見て、「いつか将来、退職した後にアフリカに学校を建てたい」という想いを持っていました。

役場で勤務して3年ほどたったころ、勤務していた部署にJICA(ジャイカ)という青年海外協力隊を運営している組織の機関紙が回ってきたんです。

機関紙を見たときに中学生のころの想いを思い出しました。仕事にも慣れ「もっと新しいことにチャレンジしてみたい」と思い始めていたところだったので、“行くなら今”という気持ちに背中を押されて応募し、休職してアフリカに行くことになりました。

実際にアフリカに行ってみてどうでしたか?

めちゃめちゃ楽しかったです。すごく充実していたし、最高の2年間を過ごせたと思っています。

最初は“貧しいから不幸”という先入観があって、手助けに行かなきゃいけない立場だと思い込んでいました。でも実際に訪れてみると、子どもたちはすごくのびのびとしている。豊かな心を持ち、純粋な笑顔があふれる子どもたちを見て、逆に日本よりも幸せなんじゃないかとさえ感じることもありました。

アフリカの村の人々、一緒に2年間の活動を共にしてきた青年海外協力隊のメンバー。さまざまな価値観を持った人との出会いや経験が自分の視野を広げてくれ、価値観を大きく変えてくれました。

勇気を出してチャレンジしてみたからこそ、得られた経験だと思います。

素敵な大人を探す中で出会った、みんなが笑顔になれる「しあわせ食」

今の会社で働き始めたきっかけは?

「出会いによって視野が広がり、価値観が大きく変わった」という経験から帰国後、宮崎で活躍している人と出会える場に足を運ぶようになりました。人脈を広げ話を聞いていく中で、学生のうちにこういう素敵な大人に出会うことがすごく大切ではないかと思うようになったんです。

学生たちにそういう機会をつくりたいという想いから、自分が惚れ込んだ大人たちを先生として迎え、熱い想いに触れてもらう全10回の講座を開催しました。講師として話をしてくれる素敵な大人を探す中で出会ったのが、今の会社「タマチャンショップ」を運営する九南サービスの代表です。

アフリカにはボランティアという形で行っていたのですが、ボランティアでは貢献できないこともありました。九南サービスはビジネスとしてしっかり成功させた中で、サービスとして社会に貢献していました。

タマチャンショップでは、みんなが健康で笑顔になれる「しあわせ食」をテーマにさまざまな商品を販売、提供しています。こだわりを持って作った商品を通して、世界に幸せを広げたいという代表の想いが自分の思い描いていたものに近かったこともあり、入社を決めました。

実際に働いてみてどうですか?

入社してすぐのタイミングでコロナ禍が始まり、都城市の事業者さんが大変苦労されているということで、いろんな商品を集めてネットショップで福袋を販売したところ、爆発的な売れ行きでした。そのため、入社して2ヶ月くらいはずっと発注・受注・発送の業務をしていました。

入社して2年の現在は営業部に所属していますが、すごい勢いで成長している会社なので、これがメインといえないほど取引・広報・総務など幅広い仕事を担当しています。自分がやりたいと思ったことは、提案することで一緒につくりあげる機会がある環境もやりがいにつながっていて、今はSDGs関連のプロジェクトを主導しています。

仕事をしていて一番うれしいのは、お客さまの声。「しあわシェア」といって、タマチャンショップの商品についての感想やしあわせな暮らしの投稿をSNSでシェアしてもらうという企画なんですが、業務の中でそういう声を聞ける機会があるのはありがたいです。

お客さまのしあわせを願って取り組んできた結果として受賞したのが「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2021総合4位」。楽天が運営するオンラインモール約5万5000ショップの中から、優秀なベスト10ショップを表彰するイベントです。

受賞するとやっぱり感動するし、その一年頑張ってきたことが報われる瞬間でした。自分が生まれ育った都城に何度も受賞している会社があり、その中で貢献できる一員であることに誇りを持っています。

小さなチャレンジを積み重ねると、いずれ大きなことにもチャレンジできる

社会人の先輩として、高校生にメッセージをお願いします。

いろんなことにチャレンジしてほしいし、いろんな大人と出会うことで視野を広げてほしいと思っています。

自分自身、高校生や大学生のころの過ごし方を少し後悔しています。学生のころの選択肢は教師一本だったので、それ以外の世界がまったく視野に入っていませんでした。

自分は26年間、宮崎を離れたことがなかった人間です。英語もそんなにできるわけでもないし、居心地の良さを重視して安定の道を選んできました。ですが勇気を出してチャレンジしてみたことで、見える世界が変わりました。

新しい出会いによって、その人の経験や生き方を知ることには、大きな意味があると信じています。出会いを大切にし視野を広げ、小さなことからチャレンジしてみてください。

最初のチャレンジは不安かもしれませんが、やってみると意外とどうにでもなるものだし、小さなチャレンジを積み重ねていくことでいずれ大きなことにもチャレンジできるはずです。

そういう経験がある自分だからこそ言えることで、あの人でもできるならという一つの道標にしてもらえたらと思います。

インタビュートップへ