産廃業へのイメージが変わった、楽しく働く父の姿
いつごろからお父さまが経営する会社への入社を意識するようになりましたか?
父からは「将来は別に気負わなくていいから。好きにしていいよ」と言われていました。中学で宮崎日大高校への進路を決めるころからなんとなく、父の会社へ入社する将来を意識し始めました。
きっかけは、仕事をしている父の姿。仕事は大変というイメージがありましたが、仕事をしている父はいつも楽しそうだったんです。
プライベートな時間でも常に仕事のことを考えていて、何かを思いついたらすぐにメモを取る。すごく楽しそうに物事を考えている父の姿をそばで見ていて、父の仕事内容が気になるようになりました。
昔は廃棄物=ゴミというふうに、良いイメージがありませんでした。でも興味を持って自分でいろいろと調べてみたら、資源の再生化(リサイクル)の考えを持って、地球環境のために働いているということを知りました。
誰もがやりたがらない仕事だけど、人が活動する上で必ず発生する廃棄物に真剣に向き合い、率先して動いている人たちをかっこいいと思うようになり、入社を決めました。
高校卒業後、宮崎県産業開発青年隊に入隊したのはなぜですか?
高校3年生の進路を考える時期に父の会社への入社を決意して、父に伝えました。真剣に話を聞いてくれ、高校卒業後については、大学に進学するなどいろんな選択肢を与えてくれました。
進路を相談していく中で、叔父が修了者ということで知ったのが「宮崎県産業開発青年隊」のこと。
自分でも調べてみて、青年隊は土木建設技術者を養成するための県立の教育機関で、1年間でさまざまな資格を取得できるということが分かりました。
現場で即戦力になれるという点を魅力に感じ、高校卒業後に入隊すると、叔父から聞いていたとおりの厳しい環境。朝6時前には起き、朝・夕・夜1日3回の点呼。早朝ランニングから一日が始まる生活で、全寮制のため同志とお風呂や食事も1年間ずっと一緒。
制限があり厳しい環境だったからこそ体力・規律性・協調性が養われ、取得した資格の数は20ほどにもなりました。「青年隊を修了した」という実績によって、世代を問わず青年隊を修了した人とのつながりも生まれているし、仲間たちとの絆が今も大きな財産となっています。
新たな出会いとコミュニケーションの日々が自分の糧に
入社してからのお仕事内容とやりがいについて教えてください。
主にトラックを運転して、産業廃棄物の収集・運搬をしています。自分たちの会社では「ドライバーは営業」といわれているんです。
収集先は幅広く、建設現場や会社だけではありません。家の新築やリフォーム現場など、個人宅のお客さまとも触れ合う機会が多くあります。
リフォームの現場では住んでいる方がいらっしゃるので、回収前に必ずお声掛けをします。リフォームに伴うバスタブや外装といったさまざまな廃棄物を回収して、最後はきれいに清掃。きれいになったと喜んでもらえたり、ありがとうの声をいただけたときにやりがいを感じます。
また、話すことが好きなので、仕事をしながら日々いろんな方に出会え、何気ない話をするなどコミュニケーションをたくさん取れるのが魅力です。
会社としての魅力はどんなところだと思いますか?
みんな仲が良くて、人に恵まれているところです。
基本的には仕事をする現場がそれぞれ異なるので、会社の仲間とは朝と夕方ぐらいしか会う機会がありません。ですが会ったときにはこれから行く現場の情報共有をしてくれたり、仕事を手伝ってくれたりすることもあります。
仕事自体は個人個人だけど、チームで仕事をしている感覚に近いです。
人とのつながりを大事にして、周囲を頼り、頼られる存在に
これからの目標について聞かせてください。
まだ具体的に決めきれていない部分があるので、とりあえず今は頼られる人になりたいです。そのためには自分が率先して働き、知識や技術を身に付けレベルアップしていくことで、「仕事ができる」と思ってもらえることを意識して頑張っています。
ただ、一人で仕事を完結していては頼ってもらえる存在にはなれません。みんなそれぞれ現場が違うので、自分が知っている現場だったら情報を共有するなど、周りにも気を配るようにはしています。
社会人の先輩から、高校生に向けてアドバイスをお願いします。
人とのつながりを大切にして、頼れるところは頼ってください。
高校では3年間サッカー部でしたが、一人じゃ続けられなかったと思っています。
サッカー部ではレベルに応じてチームが分かれていて、上のチームに上がろうと頑張っても上がることができず、精神的にきつかった時期がありました。周りに悩みを話したら、自主練に付き合ってくれたり、気分転換に誘ってくれたりしました。部活を辞めることなく3年間続けられたのは、仲間たちのおかげだと感謝しています。
今、高校生のころの仲間が大学生で、就職を考える時期。この立場なので、「仕事ってどういう感じ?」「こういう業種に行こうと思うんだけど、どう思う?」という相談で頼ってもらえています。
頼られるとうれしいし、頼ることができるのも“つながり”を大事にしてきたからこそ。何かあったときに頼れるような人を大事にしてください。