失敗を恐れないで。身構え過ぎずに興味があることから挑戦してみて

川野さん 小林高校出身

地元に戻って働きたい。周囲のアドバイスで出会った介護の道へ

現在の仕事内容から教えてください。

現在は介護士として働きながら、施設の入居者さまのケアをおこなっています。

具体的には、日常的なケアや食事、入浴の介助、排せつケアなどをおこないます。それから、入居者さまは24時間この施設で暮らしているので、起きてからの生活全般に寄り添いながら、「我が家」のような状態で過ごしてもらうためのサポートをします。

体操や行事、レクリエーションを通して季節やイベントを楽しんでもらうのも、私たちの仕事です。

高校を卒業してからの経歴を聞かせてください。

高校を卒業後は、県外の大学に進学しました。その後、地元に帰ることになり、仕事を探していたのですが、希望した理系分野では就職先が見つかりませんでした。

就職先をどうするか迷っていたのですが、たまたま親戚が介護士や看護師として働いており、「介護職で働いてみてはどうか?」とアドバイスをもらいました。

まったく未知の仕事で悩みましたが、せっかくなので求人を探し小林のグループホームの面接を受けることにしました。面接で「介護職は未経験です」と伝えたところ、「それならまずは系列の病院で働きながら経験を積んでみては?」と打診をいただき、働き始めることになりました。

現在の職場にはどのような経緯で入社されたのですか?

病院で2年半働いたころ、同じグループ内の施設として、新しく八幡の里が開設されることになりました。そこで立ち上げメンバーとして、自分も介護職として異動することになりました。

八幡の里が開設されたのが平成27年なので、そこからは現在の職場でずっと働いています。

「ありがとう」の言葉がこんなにうれしいと、改めて感じることができた

お仕事をしていてやりがいを感じる部分はどこですか?

病院で働いていたころは、どうしても病気になってからや具合が悪くなってから入院する方がほとんどでした。そのため、ケアをしていても、なかなか本人からお礼を言われる機会は限られていました。

しかし、施設に異動してからは直接入居者さまから「ありがとう」と言葉を掛けてもらえるようになりました。お礼を言われることがこんなにうれしいと、そのとき改めて感じることができましたね。

それから、普段のケアで信頼関係を築いていくと、入居者さまから名前を覚えていただけます。わざわざ自分の名前を呼んで何かをお願いされると、「必要にされているんだ」とやりがいを感じますね。

仕事をしていて難しさを感じる部分はどこでしょうか?

認知症の症状への対応は、難しさを感じる部分ですね。

昨日の対応の仕方はよくても、今日はダメだった、ということは毎日のように起こります。正解がないという部分は、難しさを感じますね。

ただ、それぞれの入居者さまはそれぞれ違った人生を過ごしてきたわけで、1人として同じ人はいません。それは当然のことで、だからこそ私たち介護士は柔軟に対応できるようたくさんの引き出しを持っておく必要があります。

声掛けや介護技術、病気の知識など、さまざまな部分でレベルアップを図っていかなければと思っています。

介護職がより働きやすい仕事になるよう、若い世代の道しるべになっていきたい

お休みの日はどのように過ごしていますか?

温泉が大好きなので、休日は身体を癒すためによく入りに行きます。それから、妻と休みが合う日は一緒に出掛けたり、ご飯を食べに行ったりしています。

仕事を家まで持ち込みたくない性格なので、帰ってからは仕事のことを忘れるようにしています。オンとオフをうまく切り替えることは意識していることですね。

では、お仕事面でこれからの目標を聞かせてください。

現在は、ケアマネージャーの資格取得を目指しています。

ケアマネージャーとは、介護を必要としている方に適切な介護サービスが提供できるように、ケアプランを作成したり家族や施設、行政との調整役を担う資格です。

現在は介護士として現場でのケアを担当していますが、年齢を重ねてから今の働き方を続けていくことは、体力的に難しいかもしれません。そうなったときに、自分の働き方のスタイルを変えることができるよう、選択肢を持っておきたいと思っています。ケアマネージャーの資格は、その選択肢を広げるための方法の一つだと思っています。

それから、介護職はどうしてもキャリアアップがイメージしづらい職種で、私も働き始めた当初はそこで悩んでいました。若い世代のスタッフも同じ悩みを抱えているので、私が新しい道を切り開いていくことで、道しるべのような存在になれたらうれしいですね。

介護という仕事は、これからもずっと必要とされる仕事です。だからこそ、働く現場もより良いものになっていければと思っています。

最後に、就職や進路を考える高校生に向けてメッセージをお願いします。

自分は学生時代勉強ばかりしていて、何か行動をするときはじっくり考えてから動き出すタイプでした。

しかし、働き始めてから現在の職場の理事長とお話しする機会があり、石橋を叩いて渡ることも大切だけど、叩く前に渡り出すことも大切だ、といった話をして下さいました。何かをやる前から失敗を恐れるのではなく、失敗は失敗したときに考えなさいと。

その話は印象的で、身構え過ぎず行動していくことの大切さを学びました。

ぜひ高校生のみなさんも、興味があることや好きなことにはまず挑戦してみるようにしてください。仕事だから、社会人だからと身構えるのではなく、まずは気軽にとらえてみてください。人生はやるかやらないかの二択です。そうやってシンプルに物事を考えながら、就職や進路選択に取り組んでみてほしいです。

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