地元に戻って貢献したい。県外からUターンして今の職場へ
これまでの経歴から教えてください。
高校は宮崎農業高校の環境工学科に通っていました。野球部に所属していたので、3年間は部活と勉強に全力で取り組む毎日でしたね。
高校を卒業後は教員免許の取得を目指して、都城にある南九州大学に進学しました。環境園芸学部で農業の教員免許取得を目指していたのですが、カリキュラムの都合上2年生のときに取得を諦めることになりました。
そこで、3年生からは庭づくりや公園などの緑地管理をおこなう造園(ぞうえん)を専門に学ぶ道に進路を変更をして、県外の大手造園企業に就職しました。
造園を選んだ理由はなぜですか?
もともと私の家は公務員の家系で、両親も安定した仕事に就職することを望んでいました。しかし、自分はより幅広い業務を経験できる環境で働きたいと考えて、民間企業への就職を希望していました。
悩んだ結果、造園という仕事なら公共事業にも携わることができ、民間でありながらある程度安定して働き続けることができます。自分が求めていた幅広い業務も経験できると考えて、造園を専門に学ぶことにしました。
生目緑地建設にはどのような経緯で入社されたのですか?
前職の企業では2年ほど働き、副支店長を任される程度まで仕事を覚えることができました。職場の環境や考え方にも共感できる部分が多く、充実した日々を過ごしていました。
一方で、将来は宮崎に戻って地元のために貢献したいと考えていました。宮崎で働くなら、地元の働き方や仕事の習慣に慣れておく必要があります。いつかは宮崎に戻るのなら、早いに越したことはないと、転職することにしました。
転職先を探していたところ、生目緑地建設に出会いました。社長は宮崎県の造園協会の会長を務めており、前職の企業ともつながりがありました。会社の目指している方向性や目標にも共感でき、社長からも前職でのキャリアを生かしてほしいとお誘いを受け、入社することにしました。
造園や土木の古いイメージを変えて、若い人から選ばれる職場にしたい
現在はどのような業務を担当していますか?
造園の分野では、宮崎市内の公園や道路の整備・管理、草刈り作業などを担当しています。利用者の方に喜んでもらえるよう、環境を整えるのが私たちの仕事です。
それから、土木の分野では宮崎港に新しいフェリーが就航するのに合わせて、港の工事やトラックが乗り入れるための土台の建設などもおこなっています。
その他に、造園や土木の仕事は公共事業が多いため、必要な書類を作成して提出するといった業務も大切な仕事です。
お仕事をしていて、やりがいを感じる部分はどこですか?
造園にしろ土木にしろ、利用者の方から感謝の言葉をいただくとうれしいですね。
造園では作業中に「ご苦労さま」「いつもありがとう」といった声を直接かけてもらうこともありますし、会社にメッセージが届いたりします。
それから、土木の仕事は地図に残る仕事が多いです。将来子どもができたときに「この建物や道はお父さんが作ったんだよ」と話ができるのは、この仕事ならではのやりがいではないでしょうか。
では、お仕事面でこれからの目標を教えてください。
造園や土木は大きくくくると建設業と呼ばれますが、どうしても古くからの3K(きつい、きたない、危険)のイメージが残っています。生目緑地建設では、こうした考え方を取り払い、若い世代からも選ばれるような会社や業界になることを目指しています。
働く環境をより良くするために、県内の建設業者では初めて完全週休2日制を導入したのも、そうした取り組みの一環です。
それから、個人としては将来的に独立してみたいという夢を持っています。ただ、そのためにもまずはこの職場でしっかり仕事を学び、貢献することが第一だと思っています。会社が取り組む古いイメージからの脱却を実現できれば、おのずと自分の将来につながっていくはずです。近道はないので、一歩一歩しっかりと歩みを進めていきたいですね。
進路選びは受け身ではなく、自分から能動的にアクションを起こして
学生時代に進路を選ぶとき、支えてもらった方がいたそうですね。
高校生のころは、担任の先生に進路選びでとてもお世話になりました。自分が教員になりたいと相談すると、さまざまな選択肢の中から南九州大学を紹介してくれました。私の日頃の生活態度や適性を踏まえた上で、「この大学なら宮崎農業で学んだ資格を生かしたりグレードアップすることができる」とすすめてくれました。
それから、「もし教員になれなくても、この学校なら将来の選択の幅も広がるよ」と自分の先々のことまで見据えてアドバイスをいただきました。生徒の未来へ向けて言葉をかけ、助言してくださる先生にとても感謝し、改めて自分もこんな先生になりたいという気持ちが強くなりました。
大学生のころはプロ野球チームが運営する野球スクールのアシスタントコーチをしていたのですが、そのときに出会ったコーチの言葉も、支えになりました。
自分がカリキュラムの都合で教員免許が取得できなくなったと伝えると、「すぐに教員にならなくてよかったな」と言われました。どういう意味か質問すると、「何も人生経験がないまま教員になっても、子どもに夢を話してあげることができないだろ?」と言われました。実はその方も教員免許を持っており、実体験から自分を励ますために言葉をかけてくださったんです。
「大学を卒業してからでも教員免許は取れる。今はたくさん社会経験を積んでおきなさい」と助言してくださいました。その言葉は今でも大事にしていて、造園の仕事でも一つのことを極めるだけでなく、幅広い分野を知ることを心掛けています。
最後に、就職や進路を考える高校生にメッセージをお願いします。
高校生のころに「この仕事で働きたい」という分野を見つけるのは、なかなか難しいことです。18歳はまだ経験できることに制限があるので、情報を得る機会も限られてしまいます。
ただ、ぼんやりとでも自分が興味がある・関心がある“何か”を見つけ出すことは大事にしてください。先生や周りの人に相談するにも、どんなことに興味があるのか分からない状態では、アドバイスできる範囲も狭まってしまいます。
高校生の就職はどうしても先生が主体となって進むことが多いですが、受け身ではなく自分から能動的にアクションを起こすことを忘れないでほしいです。きっとそうやって手探りでいろいろな職業に興味を持つことができれば、自分が進んでみたい道が見つかるはずです。
焦らずにゆっくりと、自分の興味や関心を探していってください。